日本にはどのような地域に洋上風力発電があるの?
風力発電は再生可能エネルギーを利用した仕組みで、日本の中では2016年末の段階で2,203基の風車が設置されていて総容量は335.7万kWです。
また、最近では洋上風力発電への注目が集まっていて、2040年度までには30~40ギガワットの導入を検討していて原発30~40基に相当するといいます。
風力発電は、陸上での設置が進んでいるけれども設置が可能な適地には限りがあるため大きな導入ポテンシャルを持つ洋上での風力発電所への期待が高まっているわけです。
風力発電は大規模な発電所を作ることで発電コストは火力発電並みであること、これにより経済性も確保可能などの期待を持つことができる再生可能エネルギーです。
ちなみに、太陽光発電は再生可能エネルギーの中でも普及率が非常に高いものですが、太陽光発電は太陽エネルギーを使うため夜間の発電ができないけれど、風力発電は風があれば夜間でも発電ができるメリットがあるわけです。
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鹿島臨海工業地帯には発電容量約16万kWを有する洋上風力発電所が存在する
東京はエネルギー大消費地などといわれていますが、東京に近い日本屈指とされる鹿島臨海工業地帯には発電容量約16万kWを有する洋上風力発電所が存在します。
680ヘクタールの海上には19基の風車が設置されており、ここで作り出される電気は約7万世帯分の年間消費量に匹敵するようです。
2010年6月に運転開始になった発電所で、現在では第一発電所と第二発電所が設けてあり護岸から約40~50mの水域に風車を設置してあるのが特徴です。
護岸からの距離が短いので陸地から風車を設置するやり方で建設が行われている、これにより建設コストを抑えられたようです。
これに加えて、岸から風車までの区間には管理橋が設置されていて陸地と同じくメンテナンスを行うときのことも考慮されています。
洋上風力発電のタイプ
洋上風力発電は、着床式と浮体式の2タイプがあるのですが、着床式は設置する水域が50m程度まで、これを超えると浮体式と呼ぶ方式で風車を水面に浮かばせるように設置するなどの違いがあります。
海域の中には風力発電に適しているけれども、環境への影響や漁業権の問題などから風力発電所の設置が難しいケースもあるわけです。
ところで、洋上風力発電の日本におけるポテンシャルにはどのようなことがあるのか、ドイツは風力発電供給量の増加率が世界一といわれていて、それに続くのがイギリスです。
イギリスでの急速な風力発電供給量が増加している背景の中には風力発電の洋上化が挙げられます。
イギリスは洋上に風力発電所を設ける場所が多い
イギリスは国土面積そのものが狭いと同時に人口密度も高めの国、陸上での風力発電を導入できる場所が物理的に少ないなどの特徴を持ちます。
イギリスは長い海岸線が特徴の国、四方は海で囲まれた島国でもあり経済水域が必然的に広くなり洋上に風力発電所を設ける場所が多いなどの特徴もあるわけです。
洋上の場合は、陸地と比べてもしっかりとした基盤を設置しなければなりませんが、イギリスは比較的遠浅の海が多いなどの特徴もあるわけです。
日本はイギリスと比べると遠浅の海は比較的少ない
これらをまとめると、イギリスは国土面積が狭い・長い海岸線・遠浅の海など、3つの特徴がある国でもあり洋上に風力発電所を設置しやすい国といっても過言ではないこと、そしてこれは日本においても同じことがいえます。
ただし、日本はイギリスと比べると遠浅の海は比較的少ないなどの相違点があり、着床式での設置ができる水域よりも浮体式による風力発電所にした方が良いなどともいわれているようです。
なお、浮体式の風力発電設備は支持構造物を直接海底に埋め込み固定する着床式とは異なり、船舶のような浮体構造物を建設して、海底にアンカーで固定して繋ぎ留める手法で、日本の中で遠浅ではない水域にはこの手法が有効とされているものです。
もちろん、遠浅の水域などでは茨城県などのように着床式の洋上風力発電所もありますし、イギリスと同じく日本は四方を海で囲まれている国などからも風力発電所の建設がしやすい国といえましょう。
洋上風力発電所のメリット
洋上風力発電所のメリットは色々あるけれども、その中でも大きなメリットいえるものは2つ存在します。
一つは、陸上と比較してより巨大な風力を持続的に得ることができるため、安定的な大きな電力供給に繋げることができる点です。
陸地の場合と比べても洋上は風が強く吹くことが多いため、発電量への期待も高まるわけです。
もう一つのメリットは、洋上に発電所を設置する形になるので騒音による影響が起きないことや人的な被害へのリスクが低くなるなどがあります。
これは設置する場所の確保がしやすいメリットにも繋がる部分でもあり、着床式では水深が50m以下などの設置条件はあるけれども、浮体式であれば水深が極端に深い場所でなく漁業権などの問題が生じない海域であればどのような場所でも設置の可能性は高まります。
まとめ
日本では、陸上での風力発電所の増加が高くなっているけれども、海上においてはその数はそれ程多いものではありませんが、今後はその数が増える可能性が高めのようです。
最終更新日 2025年7月8日 by mdchiefs